犬種別遺伝性疾患(07年度登録頭数順) | 1位ダックスフント | 2位チワワ | 3位プードル | 4位ヨークシャーテリア | 5位ポメラニアン |
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形質 | 血管・血液 | 脳神経 | 筋骨格・結合組織 | 呼吸器 | 循環器 | 消化器 | 腎尿路 | 先天奇形 | 内分泌・代謝 | 眼・耳・鼻 | 腫瘍 | 皮膚 | アレルギー・免疫 | その他 |
番号 | 疾 患 名 | 主 な 症 状 | 備 考 | 遺伝形式/単一因子 | 研究されている犬種 |
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1 |
Acetabular dystrophy 寛骨臼(かんこつきゅう)ジストロフィー |
参照: 股関節形成不全 |
寛骨臼とは大腿骨頭の受け皿部分の骨のくぼみのことで、ジストロフィーは異栄養による組織の萎縮などの意味。 股関節は寛骨臼と大腿骨頭が組み合わされ関節部分が球状(球関節)になっている。 |
常染色体性、unknown | * |
2 |
Achalasia of the oesophagus, congenital 先天性食道アカラシア(巨大食道) |
食道収縮の調節神経の機能に異常。黄疸、肝機能障害、誤嚥性肺炎 | 噴門部の括約筋(神経)の異常で食物を胃に送り込む機能が低下する。吐物には胃液が含まれず、頭側の食道が拡張してくる。食道のレントゲン・内視鏡で診断する。治療で改善される可能性は低い | 常染色体性、unknown | 猫 |
3 |
Achondroplasia 軟骨無形成症 |
四肢短縮型小人症、短すぎる四肢。重症例は新生子死亡 | 肘・膝・手根・足根の関節腫大が主な症状の骨端軟骨の形成不全、骨端の成長は緩やかで早期に停止し通常の成犬サイズはその犬種の半分程度。その他よく現れる症状として溶血性貧血、陰睾丸や発情異常などの生殖トラブル・性腺機能低下症、視力障害、悪い歯列、気管支拡張症、関節障害、無呼吸・中耳炎等を含む呼吸器関連の問題、水頭症、腰椎の狭窄による歩行困難・排泄障害。症状の個体差がわりと大きく全身の変形度合いが多いものは早期死亡の傾向 | 常染色体性、unknown | バセット、ダックス、プードル、ピレ、スコッチ、シェルティ、猫、ウサギ、羊 |
4 |
Achromatopsia (cone degeneration, hemeralopia), AMAL 色覚異常(錐体変性、昼盲) |
AMAL型? 低視力、羞明、眼振 |
Gene: CNGB3 ヒトの場合は黄緑と緑と水色が同じ色調に見える、中心性視力と色調知覚障害 乳児期眼振等 |
AR | マラミュート、ハスキー、ミニチュアオーストラリアンシェパード |
5 |
Achromatopsia (cone degeneration, hemeralopia), GSPT 色覚異常(錐体変性、昼盲) |
GSPT型? 低視力、羞明、眼振 |
Genes: CNGB3 昼盲とは明るい所における視力が暗い所における視力より劣る症状。視神経炎など網膜錐状体の機能障害の際にみられる。色覚の基礎となる錐体細胞(その形状から円錐細胞とも呼ばれる)は感度が低いため充分な光量を必要とする。桿体細胞は単独の視物質のみを発現するため色覚には関与しないが、感度が高い。暗所では錐体細胞はほとんど働かず、桿体細胞が働く。夜盲(Nyctalopia)は暗い所でよく見えない状態。 2012年追加 |
AR | GSポインター |
6 |
Achromatopsia-2 色覚異常(錐体変性、昼盲) 2 |
2型? 低視力、羞明、眼振 |
Gene: CNGB3 錐体視機能障害、深刻な視力低下、減損または完全な色盲や羞明によって現れる先天性常染色体劣性網膜疾患 |
AR | ラブ、Gシェパード |
7 |
Acral mutilation syndrome 肢端切断症候群 |
1箇所または複数の四肢の先を執拗に舐める、噛む |
Gene: GDNF 別名・つま先無痛症、特発性自傷。遺伝性感覚神経障害。末梢神経の異常発達で温度や痛みを感じにくいため、皮膚炎などこれと言った原因が無いのに異常に四肢の先を舐めるまたは噛むことで二次的な細菌感染から潰瘍になり、重症例では広がった潰瘍のため自然に切断されたり外科的に切断適応となることからこの名がついたらしい。 最初歩行の問題は無いが四肢をバラバラに動かすように歩くケースもある。生後3ヶ月頃から見られてゆっくり進行する。同胎兄弟に同じ症状が出やすいのでARが示唆される。確定診断は筋生検(正常な神経電位が存在しない)。治療法がないため外国では安楽死対象も多いのに対し日本での診断は1位ストレス2位アレルギー |
常染色体性、unknown(ARか) | ポインター、ミニピン |
8 |
Acrochordonous plaque 線維上皮腫瘍(?) |
柔らかいイボ、主に首に皮膚の色(またはそれより暗い色)の多数のプラークを形成する。外方増殖性の線維上皮性ポリープ、軟性線維腫 | プラークはほとんどが2〜5ミリの小さいものだが最大直径5センチのものもある。プラークとは脂質やカルシウムや様々な線維性結合組織を含んだ細胞や細胞の死骸から構成される蓄積物・固まり。ポリープが尿路内に発生して尿失禁や尿路感染症になることもある | 常染色体性、unknown | パグ、ブルドッグ |
9 |
Acrodermatitis enteropathica 腸性肢端皮膚炎症候群 |
四肢の先や耳や目や口や外陰部周囲に紅班・フケ・水疱・膿疱、頭部脱毛、爪の変形、嘔吐・下痢 |
別名・亜鉛反応性皮膚炎。膿皮症や脂漏症などと間違った診断をされやすい。治療法は亜鉛の投与が有効なことからこの名がついた模様 2012/追加 |
AR | ブルテリア |
10 |
Acromegaly アクロメガリー 末端肥大症 |
顔面のパーツや足先などが徐々に肥大、下垂体ホルモン異常分泌が主因。ジャイアント馬場さん | 成長ホルモンの過剰産生に起因する特定の体の組織の過剰な成長。高脂血症や肝障害・糖尿病・尿崩症の心配。発情休止期の間の肢端巨大症、多飲多尿。(*アルギニン・バソプレシン(AVP)レベルの不十分な上昇*) | 常染色体性、unknown | ビーグル、Gシェパ、猫 |
11 |
ACTH-independent adrenal Cushing syndrome, somatic ACTH 非依存副腎クッシング症候群 |
食欲増(多食)、多飲・多尿、全身性の左右対称脱毛、薄くシワが寄る皮膚、腹部が膨れるビヤ樽体型 | 副腎が原因でコルチゾールを過剰に分泌する状態。ちなみに他は、下垂体から副腎皮質刺激ホルモンACTHが過剰に分泌されその結果コルチゾールが増える状態をACTH依存性クッシング症候群、下垂体以外からACTHが過剰に分泌される病気を異所性ACTH症候群、 | unknown | 多 |
12 |
Adrenal cortical atrophy 副腎皮質萎縮症 |
最終的には易感染性 | 副腎皮質ホルモンが作られないなどなんらかの理由により副腎皮質の仕事がなくなることで萎縮していく。副腎は小さな器官なので萎縮しているかどうかを知るのはヒトでも難しい | unknown | 多 |
13 |
Afibrinogenemia 無フィブリノーゲン血症 |
生まれた時に臍の緒の乾きが遅い、通常は軽い皮下出血や鼻血(粘膜表面からの)、手術や怪我で大出血、輸血も肝炎などのトラブル |
第軌子欠乏症。血液蛋白合成障害、フィブリノーゲンとは肝臓で作られる血液凝固第軌子。
無フィブリノーゲン血症(ホモ接合)では重度出血。低フィブリノーゲン血症では手術後に早期の最小限の出血。治療はクリオプレシピテートの投与 |
AR | ビション、ボルゾイ、セントバーナード |
14 |
Aggression アグレッション |
攻撃性 | 神経伝達物質(脳内ホルモン)ドーパミンとセロトニン関連遺伝子が関係している???躾の不行き届きとは別 | 多因子 | ゴル |
15 |
Alexander disease アレキサンダー病 |
筋肉のまとまりがなく制御ができない、痙攣発作、麻痺、中枢神経の病気で死に至る |
Gene: GFAP 別名・フィブリノイド性白質ジストロフィー・フィブリノイド脳脊髄障害。ミエリン(髄鞘・・神経細胞の軸策を取り囲んでいる物質)の遺伝性代謝疾患、病理上は白質ジストロフィーに分類される。生後9週〜6ヶ月の間に異変が見られる、先天性では頭が大きめ |
AD | スコッチ、バニ、フレブル |
16 |
Alloimmune haemolytic anaemia of the newborn *新生児同種免疫溶血性貧血 |
最初に初乳を口にして24〜27時間以内に貧血・黄疸・発熱・振戦・腹痛、新生児が数日以内に死亡することも | 新生児溶血性疾患とは母子間の血液型が異なる場合で、何らかの理由で胎児の赤血球が母体内に入ると母体で抗体がつくられる→その抗体が初乳によって新生児自身の赤血球を破壊する。関連障害*ピルビン酸キナーゼ欠乏症 *自己免疫性溶血性貧血 *非球状性自己免疫性溶血性貧血 | unknown | * |
17 |
Alloxan-diabetes アロキサン糖尿 |
* | インスリン依存型糖尿病で虚血性冠動脈疾患の原因となる | 常染色体性、unknown | マウス |
18 |
Alopecia areata 円形脱毛症 |
円形脱毛の総称 | 自己免疫が毛包に働くような??? | unknown | Eセッター他 |
19 |
Alopecia, colour mutant 色素変調性脱毛症 |
皮膚が乾燥し脱毛が起こる、さめ肌、 |
Genes:MLPH 別名・ブルードーベルマン症候群、カラーミュータント脱毛症、色素希釈性脱毛症。生後6ヶ月すぎ〜3歳くらいの間にブルー(黒の希釈)かフォーン・イザベラ(チョコの希釈)などダイリュートの犬に発症(ダイリューション特定劣性因子による脱毛)。表皮は比較的正常か過形成、毛包は歪みのある萎縮。 根本的治療無し、痒み止めに薬用シャンプー。毛嚢炎などの診断では抗生物質で一時解決されるが脱毛したまま。診断:顕微鏡検査か皮膚生検にて表皮、真皮、毛包内のメラニン分配が凝集など不規則であれば |
AR(毛色劣性因子) | 劣性ダイリューション因子のある犬種 |
20 |
Alopecia 脱毛症 |
さまざまな原因によって脱毛が起きる状態の総称 | ホルモン性やアロペシアX(非炎症性、進行性、両側性対称性脱毛症)などなど。ポメラニアンのアロペシアXが常染色体優性遺伝、戸外飼育環境下でのアーフェンピンシャーの季節性(冬季)わき腹脱毛症の例、チベタンテリアの冬季再発性わき腹脱毛の例など色々研究されている | AD、(ARもあるかも) | 多 |
21 |
Alpha-1-antitrypsin deficiency アルファ1アンチトリプシン欠損症 |
肝障害、呼吸困難、嘔吐・下痢・腹水・黄疸・出血傾向 | 肝硬変や門脈圧亢進症で多くは成長期で死亡。タンパク質を分解する酵素(プロテアーゼ)の作用を抑制するアルファ1‐アンチトリプシンの欠損。特に肺や肝臓の組織に障害が生じ、肝臓がこの酵素を細胞の外に分泌できなくなり酵素が肝細胞内にたまり、肝細胞の損傷を引き起こす。 | 常染色体性、unknown | Aコッカー |
22 |
Alzheimer disease アルツハイマー病 |
認知症 | アミロイドが脳に蓄積することによって退化する | 常染色体性、unknown | 多 |
23 |
Amelogenesis imperfecta エナメル質形成不全症 |
すき歯、欠歯、早期歯の喪失 |
Gene: ENAM エナメル質の発達に関与する遺伝子のうちENAMの変異はエナメル質形成が阻害される。変異の影響を受けた歯は表面が粗く茶色がかっていてサイズが小さい。通常より歯の間隔が広いとエナメル質が年齢より早く磨耗する |
AR | イタグレ、Sプー |
24 |
Amyloidosis アミロイド症、アミロイドーシス |
臓器によって症状は様々だが腎臓の場合はネフローゼや腎不全、心臓の場合は不整脈や心不全、神経症状としては失神、夜尿、感覚が鈍くなる、胃腸障害、末梢神経や自律神経の障害(手足のしびれ、麻痺、排尿の異常、便秘、下痢)、運動障害 | 代謝性肝疾患。アミロイドという異常タンパクが臓器に沈着し、その臓器が正常に機能しなくなる病気の総称。全身性と限局性(限局性にアルツハイマー病やプリオンなど)。免疫グログリン蛋白とは異なる特殊なN末端アミノ酸配列をもつアミロイド。主要なアミロイド症には3タイプある。末梢性感覚および運動神経障害、自律神経障害、心血管系および腎アミロイド。手根管症候群と硝子体異常も起こりうる | 常染色体性、unknown | 秋田犬、ビーグル、Cシャーペイ、猫、鶏 |
25 |
Amyloidosis, AA 二次性アミロイド症、アミロイドーシス |
同上 | 慢性経過をとる化膿性疾患、慢性感染症、組織破壊性疾患に原因。アミロイドがつくられる原因ははっきりしていないがなんらかの免疫反応と関わりがあるとされている。動物では原発性アミロイドーシスは稀でほとんどが二次性。(二次性=続発性。対義語は原発性(最初の、第一の)) | 常染色体性、unknown | Cシャーペイ |
26 |
Amyloidosis, renal 腎性アミロイド症、アミロイドーシス |
無気力、体重減少、多飲多尿、糸球体や尿細管付近にアミロイドが沈着することによるネフローゼ、腎不全 | 通常5歳以上で発症、歯茎が乾燥した場合低体温・嘔吐・下痢・口の潰瘍も見られる | unknown 常染色体性、 | Cシャーペイ、猫、牛 |
27 |
Anal furunculosis 肛門せつ腫 |
主に肛門の周囲に複数の小さなおできができる | 肛門癤(せつ)症。せつは圧痛のあるおでき、せつが皮下で連続すると癰(よう)。肛門以外(顔面など)にもできることがある。2011年9月追加 | 常染色体、unknown | Gシェパ |
28 |
Anal sac gland carcinoma 肛門線維腫 |
肛門周囲部の脱毛、潰瘍、出血、結節状の腫瘍が肛門周囲部に発育 |
未去勢オスに多い。線維腫とは線維芽細胞の増殖よりなる腫瘍 線維芽細胞(せんいがさいぼう、英: fibroblast)は、結合組織を構成する細胞の1つ。コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸といった真皮の成分を作り出す。核小体が明瞭な楕円形の核を有し、細胞質は塩基好性を示す(Wiki) 未避妊メスは膣線維腫が起こりえる |
常染色体性、unknown | Eコッカー |
29 |
Androgen insensitivity syndrome (AIS) アンドロゲン不応症候群 |
停留精巣、不妊 | 男性仮性半陰陽でいくつかのタイプがあり完全型では外見上はメス。アンドロゲンは生成・分泌されるが受容体の働きが弱い〜無いために起きる性分化障害。 | XR | 猫 |
30 |
Anhidrotic ectodermal dysplasia 無汗性外胚葉異形成 |
主にオス、歯が無いor少ない、爪の異常、暑さに弱い、粘膜が弱い、化膿しやすい、皮膚が弱く色素が薄い、無or貧毛、易感染性 |
Genes:EDA 頭部〜顔面と腰〜背中が無毛状態で生まれる。無毛部分と肉球は毛包・エクリン腺・それに関する構造物が無い。涙が出ないため新生児眼炎(閉じた瞼の裏の炎症)や結膜炎や角膜炎など目のトラブルも。歯は無いことが多くある場合は円錐形で臼歯と切歯は奇形で小さく小臼歯は薄く通常より外側に挿されている |
XR | バセット、Bシェパ、ビション、コッカー、Gシェパ、ラブ、ミニピン、プードル、ペキ、ウイペット |
31 |
Ankylosing spondylitis (AS) 強直性脊椎炎 |
背部痛、微熱、元気食欲不振、体重減少、貧血。 | 略称AS。合併症として急性虹彩炎(前部ぶどう膜炎)、尿と便のおもらし、椎骨骨折や亜脱臼、大動脈弁閉鎖不全。体軸骨格や末梢大関節の炎症によって特徴づけられる全身性リウマチ性障害。 | 常染色体性、unknown | ボクサー |
32 |
Anodontia 無歯症 |
先天的に歯(の数)が欠けている状態、欠損歯(けっそんし) | 第二小臼歯の欠如はAR、第四小臼歯は複雑。様々な病気の合併症であることもある | 常染色体性、unknown | ケリーブルー |
33 |
Aortic aneurysm, familial thoracic 家族性胸部大動脈瘤 |
かなりの間無症状で悪化する(破裂に近づくほど)と背中を痛がったり咳が多くなったりする | 心臓に近い位置の大動脈の一部が先天的に弱く、通常の血流の圧により弱まった部位が広がる(膨らむ)状態。血管の腫れで大動脈逆流弁を起こすこともある。破裂後ほとんど死亡 | 家族性(主にADだがARもある) | レオン |
34 |
Aortic stenosis, subvalvular 大動脈弁下狭窄症 |
呼吸・脈拍が速い。食欲無、体重減少。新生児では乳飲みが悪い、体重が増えない。心臓の病気はそのような症状が出た時には重症であることが多い | 血液を全身に送り出す左心室の出口の大動脈弁に筋肉の張り出しがあって狭い状態。手術後の予後は悪い | 常染色体性、unknown | ボクサー、ゴル |
35 |
Aphakia 無水晶体症 |
先天性は盲目、二次性は強度の遠視、他の眼疾患併発(無水晶体症白内障や無水晶体症緑内障、無水晶体性水疱性角膜症など) | 角膜混濁、瞳孔の欠如、ヒトでは主に白内障の手術後の水晶体を取り去った状態を言う。 | 常染色体性、unknown | セントバーナード |
36 |
Aplasia segmentalis ductus wolffii *ウォルフ管(精管)分化障害 |
オスで乳腺の発達、体高が高い。合併症として停留精巣、無精子症、鼠径ヘルニアが多い。 | 性分化の異常。新生児期に死亡もある。男性半陰陽(?)のひとつのタイプだが見た目はオスなのでわからないことが多い。初期胎児にはミュラー管(卵管)ウォルフ管の両方があり、男性ホルモンが分泌されるとミュラー管は退化し、男性ホルモンを受けなければウォルフ管が退化し子宮等が作られる。ミュラー管遺存症候群であれば外性器は完全に男性型であるが、内性器はミュラー管由来臓器とウォルフ管由来臓器が並存する。 【参考】内分泌攪乱物質 | 常染色体性、unknown | ハスキー |
37 |
Arnold-Chiari malformation アーノルド・キアリ奇形 |
前肢の筋力低下と部分的麻痺、うさぎ跳び歩行、頭や首に痛み、合併症に水頭症、二分脊椎 | 後頭部にある小脳や脳幹の一部が頭蓋骨から脊椎に落ち込んだ状態。9歳で診断されたキングチャールズスパニエルの例がある。ヒトでは壮年期に発症(目立つ症状が初めて現れるという意味)が多いようなので、後天性水頭症の犬の何頭かはこれなのかもしれない | 常染色体性、unknown | キングチャールズ |
38 |
Arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy 催不整脈性右室心筋症 |
単相心室性不整脈、失神、および心臓突然死 |
Gene: STRN 右室心筋の局所的な脂肪変性や線維化により右室拡大→右室壁運動異常 |
常染色体性不完全優性 | ボクサー |
39 |
Arthritis 関節炎 |
肩の関節に炎症を伴う病気があれば前足を外側から中に回し入れるように歩いたりなど部位によって様々だが基本的には腫脹、圧痛、こわばり、可動域制限 | 股関節形成不全や膝蓋骨脱臼などを含む関節の病気の総称。このような遺伝性疾患も見逃さないためにドッグショーで歩様審査があると言える | 常染色体性、unknown | 多 |
40 |
Arthritis, rheumatoid リウマチ性関節炎 |
激しい痛み、重度の跛行、発熱、関節脱臼、歩行不能 | 自己免疫疾患。主に四肢(の先)の関節が腫れ、こわばり、痛みを伴う変形が起こる | 常染色体性、unknown | いわゆる人気犬種の小型犬 |
41 |
Ascites 腹水貯留 |
体重増加、腹部膨隆、尿量減少 | 肝疾患のほか心疾患、腎疾患、フィラリア、甲状腺機能低下症など様々な原因により腹腔内に異常に多量の液体が貯留した状態 | 常染色体性、unknown | ゴル |
Ataxia 運動失調 |
筋力低下・麻痺などの症状が無いのに、意思通りに運動が行えない状態。症状はかなり幅がある | 末梢神経、脊髄後索、小脳、迷路、大脳の障害(特に前頭葉)によって起こる | 常染色体性、unknown | ジャック、Eブル、ドーベルマン | |
42 |
Ataxia, cerebellar, ATP1B2-related ATP1B2関連型 小脳性運動失調 |
小脳性運動失調参照 |
Gene: ATP1B2 小脳の細胞が海綿状に変性する。生後すぐから症状がハッキリしているため、3ヶ月に満たず安楽死の対象となることが多いようだ。元Malinois(マリノア種の小脳運失) |
AR | Bシェパマリノア |
43 |
Ataxia, cerebellar, juvenile to adolescent, RAB24-related RAB24関連型若年性小脳性運動失調 |
体幹動揺、頭部の意図振戦(企画振戦)、深刻な歩行障害、小脳の萎縮(MRIで萎縮が診断される) |
Gene: RAB24 生後6ヵ月〜4歳の間に発症。意図振戦とは安静時にはほとんど生じない運動時・特に運動終了直前に生じる律動的な運動疾患。運動失調を主要な症状とする神経変性疾患を総称で脊髄小脳変性症という。進行性 |
AR | Gセッター、OEシープドッグ |
44 |
Ataxia, cerebellar, KCNJ10-related KCNJ10関連型 小脳性運動失調 |
振戦、ミオキミアを伴う運動失調、発作 |
Gene: KCNJ10 ミオキミアとはまぶたのピクピクけいれんのようなもの。生後2ヵ月〜8ヶ月ころ発症、犬種によって傾向がわかれる。マリノアは海綿状変性も |
AR | ジャック、パーソンラッセル、ラッセルテリア、Sフォックステリア、マリノア |
45 |
Ataxia, cerebellar, neonatal, GRM1-related 小脳性運動失調 |
眼震、起立不能、歩行障害 |
Gene: GRM1 バンデラ症候群 この犬種のみミズーリ大学で遺伝子検査 http://www.caninegeneticdiseases.net/ataxia/coton.htm 生後3週目ころから症状に気づく。眼震は目が開いてすぐからわかることも(2週目)。精神状態は通常 |
AR | コトンデツレアル |
46 |
Ataxia, cerebellar, progressive early-onset, SEL1L-related 早発型進行性小脳性運動失調 |
振戦、運動失調、進行性の成長障害 |
Gene: SEL1L 早期発症型進行性の神経系の変性疾患。プルキンエ細胞の著しい損失 |
AR | フィニッシュハウンド |
47 |
Ataxia, progressive 進行性運動失調 |
とくに前肢の動きがまとまりなくぎこちない、前肢の中央の2本指のつま先立ちで歩く、 | ゆっくりと進行する神経系の変性疾患 | 常染色体性、unknown | ロット |
48 |
Ataxia, progressive, with head tremor and seizures *頭部振戦とてんかんを伴う進行性運動失調 |
運動失調を参照 | 頭部振戦とは立ち上がったら震えるが横たわると震えが消える状態(小脳疾患の症状) | 常染色体性、unknown | コッカー |
49 |
Ataxia, spinocerebellar, CAPN1-related CAPN1関連型脊髄小脳失調 |
左右対称の運動失調、痙性の動き、歩行障害、 |
Gene: CAPN1
歩行障害は生後2〜9ヶ月までに起こる。病理組織は主に全体の中枢神経系の疾患、軸索障害を示している。 |
AR | ジャックラッセル、パーソンラッセル |
50 |
Ataxia, spinocerebellar, ITPR1-related ITPR1関連型脊髄小脳失調 |
体幹の揺れや振り子眼振、バランスの障害、非協調運動 |
Gene: ITPR1
歩行障害は生後4月頃から起こる。進行性。 |
AR | Iスピノーネ |
51 |
Ataxia, spinocerebellar, SPTBN2-related SPTBN2関連型脊髄小脳失調 |
歩行障害 |
Gene: SPTBN2
歩行障害は生後3〜4週めの最初の歩行時から起こる。進行性。 犬に見られている遺伝性の脊髄小脳失調には複数のタイプがあり、その中にはヒトに起きる型のうちヒトではまだ原因遺伝子をはじめ全容を解明されていないタイプと同一と考えられるものがいくつかある。そういった非常に大切で尊い研究もなされている。 |
AR | ビーグル |
52 |
Atherosclerosis アテローム性動脈硬化症 |
不整脈・頻脈とそれによる呼吸困難・咳・元気消沈 | 別名・粥状(じゅくじょう)動脈硬化症、ヒトの動脈硬化と同様かなり悪化するまでほとんど症状は出ず。アテロームとはお粥状の脂肪質のかたまりで動脈内に付着して血管を狭める。アテローム性動脈硬化病変は心臓、脾臓、腎臓、肺、膵臓、消化管、泌尿生殖器官、目、前立腺や膀胱を含む多くの臓器における大動脈と筋肉の動脈に見られ甲状腺機能低下を起こすこともある | 常染色体性、unknown | * |
53 |
Athletic performance アスレチックパフォーマンス |
運動性能 | 主にそり競技に関連する能力、短距離と長距離それぞれに強い遺伝に関すること | unknown | そり犬など |
54 |
Atopy アトピー |
主に痒み | アレルギーを起こす皮膚 | 常染色体性、unknown | 多 |
55 |
Atresia intestinal 腸管閉鎖 |
出生後嘔吐、腹部膨満、胎便の遅れ | 程度によるがたいていは早期死亡 | 常染色体性、unknown | * |
56 |
Atrial fibrillation 心房細動 |
不整脈・頻脈・運動嫌い・失神または無症状 | 心房の収縮がない。心不全を示していることが多い。不規則な心拍数(急激な増加は毎分180以上にもなる)や不整脈により心臓から送り出される血液の量が減少することで心房の各部分が無秩序に興奮している状態。僧帽弁閉鎖不全症や拡張型心筋症など心房が非常に拡大する疾患で発生する。基礎となる心疾患のない心房細動は兆候が無い。 | 常染色体性、unknown | ボクサー |
57 |
Atrial septal defect 心房中隔欠損症(ASD) |
無症状から呼吸困難やチアノーゼまでさまざま | 左心房と右心房の一部が欠損し穴が開いた先天性心奇形、しばしば心臓の他の疾患と合併する | 常染色体性、unknown | ボクサー、ドーベルマン、サモエド |
58 |
Attention deficit hyperactivity disorder 注意欠陥多動性障害 |
行動障害 | ADHD | unknown | Gシェパ、ハスキー |
59 |
Autoimmune thrombocytopenia 自己免疫性血小板減少症 |
血液凝固障害からの無気力・食欲不振、皮膚や粘膜の点状・表在性出血、心拍数増加・あえぎ呼吸、重症例は失血死 | 自分の血小板に対する抗血小板抗体が作られることによって血小板数が減少する(自分の血小板を攻撃する)。通常白血球数と赤血球数は正常で骨髄では血小板の前駆細胞の巨核球が増加している。メスはオスの3〜4倍の罹患率 | unknown | 多 |
60 |
Autosomal dominant PRA 常染色体優性進行性網膜萎縮症 |
PRA参照 |
Gene: RHO 常染色体優性とは性差がなく常染色体上に存在する1対の遺伝子の一方に異常があれば発症する。発症個体は通常へテロ接合で、子に伝える確率は当然50% |
AD | Bマスチフ、Eマスチフ |
61 |
Bardet-Biedl syndrome 4 バルデー・ビードル症候群 |
肥満、網膜色素変性症、慢性腎障害、性腺機能低下症(無発情)、多指症・合指症 |
Gene: BBS4 ヒトでは難病対象で知能障害を伴うARが知られている→AR確定07/17 |
AR | プーリー |
62 |
Beta blocker response in heart failure 心不全におけるベータ遮断薬の応答 |
薬の効き目に関する研究 | 主に心不全の治療に用いる交感神経β受容体遮断薬が作用する、遺伝子の候補へのアプローチ | unknown | * |
63 |
Black hair follicle dysplasia 黒色毛包形成不全 |
黒色部分の被毛の伸びが悪い、脱毛、生えない。ブチ柄で目立つ。その部分のフケや皮膚の荒れ、爪ジストロフィーと合併することも多いようだ | 自己免疫疾患??? | AR | Lミュンスター、セッター、NZハンタウェイ、黒いサルキー、トライのジャック |
64 |
Bleeding disorder 出血性障害 |
傷などの出血量が多い、小さく浅い傷から容易に出血、血が止まりにくい、内出血、鼻血、メスの発情出血の出血量と期間が多い | 血液凝固因子の先天的欠乏による病気と、後天的な原因による血管障害・凝固異常の総称。血友病・フォンウィルブランド病・察´勝´将機´将兇龍展念子欠乏症・低or無フィブリノーゲン血症、血小板異常・ビタミンK欠乏症・肝疾患でみられる | unknown | 多 |
65 |
Bleeding disorder due to P2RY12 defect P2RY12欠損出血性疾患 |
血小板凝固異常 |
Genes: P2RY12 ADP応答障害、術後出血症とも。 P2RY12はP2RYファミリーに属する受容体で、脳・脊髄・血小板に高発現? |
AR | グレートスイスマウンテンドッグ |
66 |
Blood group system, rhesus 血液型 |
イヌ血液型抗原 | イヌの血液型抗原の生化学的特性評価:DEA 1.2、4および7の免疫沈降と相同アカゲザル人間に犬の赤血球膜抗原の同定 | AD | * |
67 |
Blood group system/dog erythrocyte antigen (DEA) 1 DEA 1 |
DEA 1.1 | 以前のBlood Group System Aまたは犬赤血球抗原(CEA)1と2 | AR | * |
68 |
Blood group system/dog erythrocyte antigen (DEA) 3 DEA 3 |
* | 以前のBlood Group System Bまたは犬赤血球抗原(CEA)3 | AD | * |
69 |
Blood group system/dog erythrocyte antigen (DEA) 4 DEA 4 |
* | 以前のBlood Group System Cまたは犬赤血球抗原(CEA)4 | AD | * |
70 |
Blood group system/dog erythrocyte antigen (DEA) 5 DEA 5 |
* | 以前のBlood Group System Dまたは犬赤血球抗原(CEA)5 | AD | * |
71 |
Blood group system/dog erythrocyte antigen (DEA) 6 DEA 6 |
* | 以前のBlood Group System Fまたは犬赤血球抗原(CEA)6 | AD | * |
72 |
Blood group system/dog erythrocyte antigen (DEA) 7 DEA 7 |
* | 以前のBlood Group System Trまたは犬赤血球抗原(CEA)7 | AD | * |
73 |
Blood group system/dog erythrocyte antigen (DEA) 8 DEA 8 |
* | 以前のBlood Group System Heまたは犬赤血球抗原(CEA)8 | AD | * |
74 |
Blood group system/dog erythrocyte antigen Dal ダル型 |
* | ダルメシアン種の特定の抗原の有無 | 常染色体性 | ダル |
75 |
Blood group system/dog erythrocyte antigen Kai カイ型 |
* | 北アメリカの犬の血液型、特定の抗原の有無の研究 | unknown | 多 |
76 |
Blood group systems, generic *血液型体系 |
* | 赤血球の表面上の特定の抗原(通常は糖タンパク質)に対応するそれぞれの血液型。犬赤血球が持っている抗原の種類を「DEA型」と示す。DEA(Dog Erythrocyte Antigen -犬赤血球抗原) | 常染色体性、unknown | * |
77 |
Brachycephalic airway obstruction syndrome 短頭種気道閉塞症候群 |
いびき、息を吸う時に音が出る、咳、血液中の酸素濃度が低いため高血圧 | 別名・上気道閉塞症候群。鼻孔狭窄症・軟口蓋過長症・喉頭虚脱・気管低形成などによる上気道の閉塞。気道閉塞症候群を持った犬のほとんどに軟口蓋過長や鼻孔狭窄 | 常染色体性、unknown | 短頭種、猫 |
78 |
Brachycephaly 短頭症 |
頭部の骨格が円に近い短頭種の普通の状態 | Gene: SMOC2, BMP3 野生型(その他の普通の犬)の頭骨を真上から見ると細長い楕円形なのに対して。ヒトのトレチャーコリンズ症候群Treacher-Collins syndromeの軽症例(健全&固定成功例?)とも言えそうだ。骨格比較写真 PubMed Figure 1 Brachycephaly in dogs. | 多因子 | 短頭種 |
79 |
Brachydactyly 短指症 |
前肢または後肢の第1指と第4指が極端に短い | 染色体異常の症状のひとつとして現れることもある | AR | * |
80 |
Brachygnathia 小顎症 |
症状に差があるが下あごの先端が上あごの先端より小さいこと | 下顎短小奇形症、不正咬合、オーバー。ごく軽症の場合は誰も気がつかないこともある(たいてい歯の噛み合わせは見るがあごの骨格までは見つけにくい)ほどで、 原因不明のよだれが多かったり歯周病(稀に犬には珍しい虫歯も)や成長とともに緩んで並びが狂う切歯でようやく思い至るケースもある。とくに小型犬で口内のサイズのわりに歯が大きく立派な若犬は歯並びが揃っていても要注意 | 常染色体性、unknown | GSポインター |
81 |
Budd-chiari syndrome バッド・キアリ症候群 |
強い腹痛・腹部膨満・腹部の静脈が浮き出る、多飲、高血圧、咳、呼吸困難、速脈、失神、肝疾患 | 肝静脈あるいは肝部下大静脈の閉塞ないし狭窄による疾患で生後数日から数ヶ月で肝不全も多い、4歳前までには発症する | unknown | キャバリア |
82 |
Bullous pemphigoid antigen *アンチジーン水疱性類天疱瘡 |
頭・首・足の付け根・四肢・腹部に痒みのある皮膚の赤みの中に大き目の水ぶくれ・潰瘍 |
*antigenは抗原 *特定遺伝子の転写を阻害する機能を指してアンチジーン 免疫システムが崩れて皮膚を攻撃する抗体ができることが原因、急速に進行し二次感染も含め死亡率は高い |
常染色体性、unknown | コリー |
83 |
C3 deficiency C3欠損症 |
反復する化膿性の感染症、先天的免疫不全症なので感染症に罹りやすい |
Gene: C3 C3(補体第3成分)とは糖タンパク。低値での異常値を示す疾患としては以下になる。 出生時に始まる莢膜をもった細菌による再発性化膿性感染、SLE、悪性関節リウマチ、DIC、多臓器不全、アナフィラキシーショック、急性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、エンドトキシンショック、C3NeFの存在、I(C3bINA)欠損症、C3欠損症、慢性肝炎、肝硬変、劇症肝炎、亜急性肝炎、敗血症 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構「遺伝性補体第3成分低血症ウサギの作出」 (SLEはC1、C2、C4の主な臨床所見) |
常染色体性、単一遺伝子 ヒトではAR |
ブリタニー |
84 |
Calcification of intervertebral discs 椎間板カルシウム沈着(石灰化) |
椎間板ヘルニアの症状の軽度なもの | 椎間板の軟部組織(髄核か)にカルシウムが沈着し石灰化することで椎間板ヘルニアへ移行しやすくなる。12〜18ヶ月に起こることが多く数日間階段を嫌ったり元気消沈したり稀に血尿もあるがすぐに快復したように見える | 常染色体性、unknown | ダックス |
85 |
Calcinosis circumscripta 限局性石灰沈着症 |
体表面に現れる小さめの白い瘤・できもの、刺すような痛み | 舌や四肢・関節にできることが多い、肉球に出来た例、脊椎に沿って出来た例もある。『犬の舌筋と真皮における限局性石灰沈着症の1例』(CiNii)http://ci.nii.ac.jp/naid/110003886423 | 常染色体性、unknown | ボルゾイ、Eポインター、Gシェパ、グレートデン |
86 |
Cardiomyopathy 心筋症 |
心機能障害を伴う心筋疾患 | 肥大型、拡張型、拘束型、不整脈原性右室心筋症、分類不能型に分類される | 常染色体性、unknown | Eコッカー、ボクサー、ドーベルマン、ラブ、IWハウンド、ポーチュギーズ、猫 |
87 |
Cardiomyopathy, dilated 拡張型心筋症 |
心室(とくに左心室)拡張と収縮力低下とうっ血性心不全を伴う重篤な心筋病変 |
Gene: PDK4 心筋の収縮機能不全により心室腔が拡張する疾患。カルチニン欠乏との関係も示唆されている |
AR | 多 |
88 |
Cardiomyopathy, hypertrophic 肥大型心筋症 |
肺水腫による呼吸困難など | 左心室壁肥厚と左室拡張障害を伴う心筋疾患。血栓塞栓症が合併しやすく後肢の不全麻痺につながる、高齢発症もよくある | 常染色体性、unknown | ヨーキー |
89 |
Cardiovascular malformations 心血管奇形 |
心臓病の症状 | さまざまな心血管系の形成不全、奇形 | 常染色体性、unknown | * |
90 |
Carpal subluxation 手根骨亜脱臼 |
手首を大きく曲げてペタペタと歩く(地面に着く面が大きい)、痛みを訴えないこともある、たいてい両側性 | 重症例では手根球(一番上の小さい肉球)まで完全に地面に着く。手根(しゅこん=手首)を形成する7個の短骨を手根骨という。亜脱臼はレントゲンで診断されにくいことと、子犬の頃に発症するため成長の一環??などといった説明を獣医師からなされるケースもあるようだ | AD,AR,X-link | Gシェパ、ラブ |
91 |
Cataract, early onset 早期発症型白内障 |
若年性(目安として6歳以前)水晶体の白濁 |
Genes: HSF4 最終的には視力の喪失。PRAなど他の眼科疾患の合併症としても現れる。進行度合いが急であれば糖尿病も疑える。早期発見は内服薬と点眼薬で進行を遅らせる治療ができることもある |
AR | Aコカ、ゴル、Mシュナ |
92 |
Cataract, generic 白内障 |
水晶体の白濁 | 老齢性、糖尿病性、外傷性、内分泌性、中毒性の後天性のもの | AD | 多 |
93 |
Cauda equina syndrome 馬尾(ばび)症候群 |
下半身の痛み、元気消沈、跛行 | 馬尾神経障害による膀胱直腸や会陰部での感覚運動障害。股関節形成不全などのほかの関節疾患との区別 | 常染色体性、unknown | Gシェパ、ラブ |
94 |
Central core myopathy セントラルコア病 |
早期から筋緊張低下、筋力低下、呼吸筋・顔面筋・頚筋が弱い、進行の遅い運動発達の遅れ、関節拘縮 | 先天性非進行性筋疾患の一種で8ヶ月頃までには症状が出ることが多く早期死亡 | 常染色体性、unknown | グレートデン |
95 |
Cerebellar abiotrophy 小脳性アビオトロフィー |
大きい歩幅とぎこちない歩き方、頭部と交差する足の振戦、若齢時の後足の運動失調、食事中の頭部振戦 |
Gene: SPTBN2 abiotrophyは細胞や組織の死滅の意 パピオン犬およびパピオン関連犬種における神経軸索ジストロフィーと小脳皮質アビオトロフィーの臨床・病理所見(病理学) |
AR | パピヨン、ラブ、ビーグル、ボーダーコリー |
96 |
Cerebellar cortical atrophy *小脳皮質萎縮症 |
歩行失調、前肢の失調は比較的経度 | 小脳は姿勢制御・身体協調・平衡に関係し、脳幹の橋と延髄の背側にある小脳は灰白質の皮膚と白質の髄質からなる。白質は灰白質中に放射状に広がり中央部の虫部と小脳半球が区別されその小脳虫部に萎縮が起こる | AR | パピヨン、アムスタ、ラブ |
97 |
Cerebellar cortical degeneration, Hungarian Vizsla ハンガリアンビズラの小脳皮質変性症 |
生後3ヶ月前後からの進行性の運動失調 |
Gene: SNX14 小脳皮質変性はこれまでに多くの犬種で症例の報告や研究などがあるが、ビズラ種では2016年のこの発表が初のようだ、という報告 |
常染色体性 | ショートヘアードビズラ |
98 |
Cerebellar degeneration 小脳変性症 |
協調運動失調、頭部の小刻みな震え・揺れ、振り子眼震 |
脊髄小脳変性症の中で主に小脳に変性を示す疾患の総称。 協調運動(移動したい時に四肢をどのくらいのタイミングで動かすかなどを判断しているのが小脳)を調節している小脳の変性により起こる異常。(参考;映画「1リットルの涙」) また、変性とは細胞や組織に障害が起こり性質が変化することを言う |
AD,AR,X-link | OEシープドッグ、ボーダーコリー、スタッフィー |
99 |
Cerebellar hypoplasia 小脳低形成、小脳形成不全 |
成長遅延、躯幹や四肢の共同運動失調(ぎくしゃくした動き)、正常姿勢保持の不能、頭部と四肢の振戦 | 先天的な小脳の発育障害だが一般的に進行はしない | AR | 猫 |
100 |
Cerebellar hypoplasia, VLDLR-associated VLDLR 関連小脳低形成 |
成長遅延、運動発達遅延、歩行異常(歩幅が前後左右微妙にバラバラ)、振戦、てんかん、水頭症、角膜潰瘍や白内障など早期発現、斜視 |
Gene: VLDLR Dandy-Walker-like malformationダンディウォーカー様奇形 VLDLRはVery low density lipoprotein 超低比重リポタンパク質(肝臓から筋肉などの末梢に脂質を供給する働き)のreceptor 受容体 通常生後6週までに水頭症以外の症状が出る非進行性。Dandy-Walker Syndrome ダンディー・ウォーカー症候群 に類似する。小脳半球尾側と小脳虫部の尾側部分の一貫性の低形成・萎縮が見られる小脳奇形。筋電図は正常だが筋緊張低下 |
AR | ユーラシアン |