犬種別遺伝性疾患(07年度登録頭数順) | 1位ダックスフント | 2位チワワ | 3位プードル | 4位ヨークシャーテリア | 5位ポメラニアン |
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38
|
60 | 114 | 83 | 6 | 35 | 22 | 30 | 58 | 85 | 79 | 23 | 35 | 15 | 24 |
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形質 | 血管・血液 | 脳神経 | 筋骨格・結合組織 | 呼吸器 | 循環器 | 消化器 | 腎尿路 | 先天奇形 | 内分泌・代謝 | 眼・耳・鼻 | 腫瘍 | 皮膚 | アレルギー・免疫 | その他 |
皮膚 35(3) |
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通番 | 疾 患 名 | 主 な 症 状 | 備 考 | 遺伝形態 | 主な該当犬種 |
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7 |
Acral mutilation syndrome 肢端切断症候群 |
1箇所または複数の四肢の先を執拗に舐める、噛む | 別名・つま先無痛症。遺伝性感覚神経障害。末梢神経の異常発達で温度や痛みを感じにくいため、皮膚炎などこれと言った原因が無いのに異常に四肢の先を舐めるまたは噛むことで二次的な細菌感染から潰瘍になり、重症例では広がった潰瘍のため自然に切断されたり外科的に切断適応となることからこの名がついたらしい。 最初歩行の問題は無いが四肢をバラバラに動かすように歩くケースもある。生後3ヶ月頃から見られてゆっくり進行する。同胎兄弟に同じ症状が出やすい。治療法がないため外国では安楽死対象も多いのに対し日本での診断は1位ストレス2位アレルギー | 常染色体性、unknown(ARか) | ポインター、ミニピン |
9 |
Acrodermatitis enteropathica 腸性肢端皮膚炎症候群 |
四肢の先や耳や目や口や外陰部周囲に紅班・フケ・水疱・膿疱、頭部脱毛、爪の変形、嘔吐・下痢 |
別名・亜鉛反応性皮膚炎。膿皮症や脂漏症などと間違った診断をされやすい。治療法は亜鉛の投与が有効なことからこの名がついた模様 2012/追加 |
AR | ブルテリア |
18 |
Alopecia areata 円形脱毛症 |
円形脱毛の総称 | 自己免疫が毛包に働くような??? | unknown | Eセッター他 |
19 |
Alopecia, colour mutant 色素変調性脱毛症 |
皮膚が乾燥し脱毛が起こる、さめ肌、 |
Genes:MLPH 別名・ブルードーベルマン症候群、カラーミュータント脱毛症、色素希釈性脱毛症。生後6ヶ月すぎ〜3歳くらいの間にブルー(黒の希釈)かフォーン・イザベラ(チョコの希釈)などダイリュートの犬に発症(ダイリューション特定劣性因子による脱毛)。表皮は比較的正常か過形成、毛包は歪みのある萎縮。 根本的治療無し、痒み止めに薬用シャンプー。毛嚢炎などの診断では抗生物質で一時解決されるが脱毛したまま。診断:顕微鏡検査か皮膚生検にて表皮、真皮、毛包内のメラニン分配が凝集など不規則であれば |
AR(毛色劣性因子) | 劣性ダイリューション因子のある犬種 |
20 |
Alopecia 脱毛症 |
さまざまな原因によって脱毛が起きる状態の総称 | ホルモン性やアロペシアX(非炎症性、進行性、両側性対称性脱毛症)などなど。ポメラニアンのアロペシアXが常染色体優性遺伝、戸外飼育環境下でのアーフェンピンシャーの季節性(冬季)わき腹脱毛症の例、チベタンテリアの冬季再発性わき腹脱毛の例など色々研究されている | AD、(ARもあるかも) | 多 |
54 |
Atopy アトピー |
主に痒み | アレルギーを起こす皮膚 | 常染色体性、unknown | 多 |
63 |
Black hair follicle dysplasia 黒色毛包形成不全 |
黒色部分の被毛の伸びが悪い、脱毛、生えない。ブチ柄で目立つ。その部分のフケや皮膚の荒れ、爪ジストロフィーと合併することも多いようだ | 自己免疫疾患??? | AR | Lミュンスター、セッター、NZハンタウェイ、黒いサルキー、トライのジャック |
82 |
Bullous pemphigoid antigen *アンチジーン水疱性類天疱瘡 |
頭・首・足の付け根・四肢・腹部に痒みのある皮膚の赤みの中に大き目の水ぶくれ・潰瘍 |
*antigenは抗原 *特定遺伝子の転写を阻害する機能を指してアンチジーン 免疫システムが崩れて皮膚を攻撃する抗体ができることが原因、急速に進行し二次感染も含め死亡率は高い |
常染色体性、unknown | コリー |
104 |
CHILD-like syndrome *偽CHILD症候群 |
背側のブラシュコライン沿いに厚い茶色の鱗状の皮膚病変、病変部のマラセチアなど感染症、オス死産 | CHILD 症候群はCongenital hemidysplasia with ichthyosiform nevus and limb defects のこと。魚鱗癬様紅皮状の皮膚病変で半身に起きその半身側の上下肢の短縮または欠損、臓器の形成異常からの障害がある。発症オスは出生時に死亡。Blaschko linesは胎生期に細胞のクローンが皮膚へと分化して体表を覆い尽くす際に拡張する方向で複数パターンがあるらしい(モザイクパターン)。違うけどブリンドル模様のようなパターン。腹側・そけい部は正常らしい | Xリンク半優性 | ラブ |
139 |
Comedo syndrome 面皰症候群 |
背中を中心としたニキビ様のデキモノ | 面皰は複数でき、中身ケラチンや皮脂で頻繁に細菌を含んで黒ずんでいる。余程広範囲でなければ痒みは無いか弱い | 常染色体性、unknown | シュナウザー、メキシカンへアレス |
172 |
Dermatitis, atopic アトピー性皮膚炎 |
痒み、湿疹、フケ、脱毛、発疹部位は顔面、四肢の先、そけい部、わき。 | 湿疹(皮膚の炎症)を伴うもののうち、アレルギー反応と関連があるもの。先天性の過敏症の一種。結膜炎や膿皮症の合併 | unknown | 多 |
173 |
Dermatofibrosis 播種性皮膚線維腫 (はしゅせいひふせんいしゅ) |
単一型のデキモノが多数できる。播種とは植物の種を播くように広がるといった意味。 | 表層性壊死性皮膚炎、マラセチア皮膚炎、皮脂腺炎、結節性皮膚線維症、日光皮膚炎、肢端皮膚炎など一緒に起こることもある。ブシュケ・オレンドルフ症候群(AD)、骨皮膚斑紋症。 | 単一遺伝子 | シェパ |
175 |
Dermatosis 皮膚病、皮膚疾患 |
さまざま | 発疹や水疱や腫瘍など皮膚に起こる病気の総称。皮膚の他被毛も含む。 | unknown | 多 |
176 |
Dermoid sinus 類皮洞 |
軽度〜重度まで様々な脊髄の炎症、神経系の異常 |
Genes: FGF4, FGF19, FGF3, ORAOV1(すべて18番染色体) 正中線上(背)の皮膚の一つまたは複数の小さな空洞。洞が外に開口していなければ頻繁に見過ごされ炎症を起こしたり、炎症部分や洞部位が脊髄に影響を及ぼすと神経系トラブルとなりうる。ローデシアン・リッジバックのリッジ(背中の逆毛)に多発 |
AD | ローデシアン・リッジバック |
181 |
Disorder of cornification 角質化障害 |
皮膚が角質化 | 内分泌代謝疾患の合併でも皮膚の極度な角質化が見られる | unknown | * |
210 |
Epidermolysis bullosa 表皮水疱症 |
小さな外傷から水泡や潰瘍、爪の脱落 |
先天性および後天性の皮膚粘膜水疱症の総称。皮膚および粘膜の極度の脆弱性を特徴とし、多発性潰瘍が歯茎、硬・軟口蓋、唇の粘膜、頬粘膜および舌の背部に観察される 表皮水疱症とは表皮〜基底膜〜真皮の接着を担う接着構造分子が生まれつき少ないか消失しているため、日常生活で皮膚に加わる力に耐えることができずに表皮が真皮から剥がれて水疱や皮膚潰瘍を生じる |
* | * |
211 |
Epidermolysis bullosa, dystrophic 栄養障害型表皮水疱症 |
皮膚表面に水疱 |
Genes:COL7A1 表皮水疱症のうち基底膜と真皮の間で剥がれる病型 |
AR | 秋田犬、ゴールデン |
213 |
Epidermolysis bullosa, simplex 単純型表皮水疱症 |
手足、顔、唇、耳の骨隆起、関節上の皮膚に水疱 |
1977年発行のアメリカ獣医師会雑誌によると診断された4頭のコリーのうち3頭が生後6ヵ月未満だった。水泡のほか脱毛症、紅斑、浮腫、紅斑、びらん、潰瘍、痂皮、萎縮、色素性変化。外傷に誘発されて水泡が出来るケースも確認されているもよう。 表皮水疱症のうち表皮が千切れて水疱ができる病型 |
unknown | コリー |
214 |
Epidermolysis bullosa, simplex, PLEC PLEC型単純表皮水疱症 |
唇・舌・鼻・パッド・腹部に表皮剥離疱疹・潰瘍 |
Gene: PLEC 生後すぐに発症がみられるようだ。あまりにも気の毒で正視困難な新生子画像アリ NCBIEpidermolysis bullosa simplex in sibling Eurasier dogs is caused by a PLEC non-sense variant. 通常安楽殺 |
AR | ユーラシア |
221 |
Exfoliative cutaneous lupus erythematosus 剥離性皮膚エリテマトーデス |
全身に痂皮、膿疱、丘疹、紅斑、脱毛、跛行と関節痛のため猫背、低精子、発情周期異常、ループス腎炎 | 全身性エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、多形性紅斑より発症年齢が低い。非常に重度の皮膚病 | AR | GSポインター |
233 |
Follicular dysplasia and interface dermatitis 同時濾胞性形成異常 *インターフェイス性皮膚炎 |
濾胞性異形成と界面皮膚炎が同時に起こる | 界面皮膚炎とはアトピーやアレルギー反応やSLEなど免疫反応に起因する真皮と表皮の境界部分(界面)の炎症性病変 | unknown | ボクサー |
322 |
Hyperkeratosis, epidermolytic 表皮溶解性角化症、表皮剥離性角質増殖症 |
わきやそけい部の色素沈着、角質の増加、水疱 |
Gene: KRT10 表皮細胞の溶解、表皮の脆弱。(同義語)水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症。#魚鱗癬のひとつ |
AR | ノーフォーク |
323 |
Hyperkeratosis, palmoplantar 手掌足底角化症、角質増殖症、角化亢進 |
肉球の角化や亀裂、それによる二次感染 |
Gene: FAM83G 症状の出始めは滑らかな羊皮紙のような肉球でその後硬化し円錐状の突起が増加、角化、亀裂 |
AR | アイリッシュテリア |
347 |
Ichthyosis, ASPRV1-related ASPRV1関連型魚鱗癬 |
角質の異常蓄積による鱗状皮膚 |
Gene: ASPRV1 「魚鱗癬とは皮膚のバリア機能が障害され胎児の時から皮膚の表面の角層が非常に厚くなる病気。出生時あるいは新生児期に全身または広範囲の皮膚が厚い角質に覆われる」(ヒト対象の難病情報センターより引用) |
AD | * |
348 |
Ichthyosis, NIPAL4-related NIPAL4関連型魚鱗癬 |
角質の異常蓄積による鱗状皮膚 |
Gene: NIPAL4 NIPAL4遺伝子の欠如。主に腹部の紅班、生まれつき縮毛、表皮に二重の脂質、角質細胞内に未処理の脂質、マラセチア |
AR | アメリカンブルドッグ |
349 |
Ichthyosis, PNPLA1-related PNPLA1関連型魚鱗癬 |
角質の異常蓄積による鱗状皮膚 |
Gene: PNPLA1 元Ichthyosis, Golden Retrieverゴールデンレトリバーの魚鱗癬 |
AR | * |
350 |
Ichthyosis, SLC27A4-related SLC27A4-関連型魚鱗癬 |
角質の異常蓄積による鱗状皮膚 |
Gene: SLC27A4 SLC27A4タンパクの欠如。主に目や鼻の周囲のしわ、苔が生えたような皮膚の肥厚によって目が開かないこともある。外国では安楽殺対象(7-40日齢) |
AR | デン |
351 |
Ichthyosis, TGM1-related TGM1-関連型魚鱗癬 |
角質の異常蓄積による鱗状皮膚 |
Gene: TGM1 トランスグルタミナーゼ1(TGM1)遺伝子のトランスポゾン挿入。遺伝子異常による皮膚表面角質の形成障害が原因と考えられている魚の鱗のように皮膚の表面が硬くなり剥がれ落ちる病気 |
AR | ジャックラッセル |
387 |
Linear IgA disease *水疱性皮膚症 |
???linearは線状 免疫グロブリン 病 四肢・鼠径部・顔面・口腔内のびらん性潰瘍と痂皮(痂皮かひは病変の底部に由来する滲出液、かさぶた) |
自己免疫性表皮下水疱の皮膚病 | 常染色体性、unknown | ダックス、シーズー、Cシャーペイ |
462 |
Nasal parakeratosis *鼻の不全角化 |
主に鼻面周辺の皮膚の角質化と色素脱失、出血することもある潰瘍化 |
我が国では「日光アレルギー」のような診断がおそらく多いと考えられる(とくに小型人気犬種) 遺伝性の鼻の皮膚炎。不全角化とは皮膚の新陳代謝が正常な場合よりも早まることで、生後6か月〜1歳くらいに発症が多いが他は健康。ビタミンEの局所投与と白色ワセリンやプロピレングリコールの局所適用が効果的なこともある |
常染色体性、unknown | ラブ |
534 |
Palmoplantar keratoderma, nonepidermolytic, focal 1 掌蹠角皮症 |
パッドが異常に分厚くなる |
Gene: KRT16 * |
AR | Bマスチフ |
545 |
Pemphigus 天疱瘡 |
頭と耳の皮膚の赤みと脱毛・パッド肥厚、全身のどこにでも水ぶくれ様の炎症(目・肛門・膣に出ることもある)、口の中にできれば食欲が失われる(口内炎は多い)、ニコルスキー兆候 | 尋常性天疱瘡・紅斑性天疱瘡・増殖性天疱瘡とも言う。正常組織に対する異常応答免疫システムによって引き起こされる皮膚に影響を及ぼす4つの疾患の複合体、自己免疫性水疱性疾患。最初は表皮細胞間のセメント物質が侵され細胞間の結合が失われて水泡ができる。わりと年齢を重ねてから起きやすく水泡と口内炎が目立つ症状。ステロイド・免疫抑制剤などで治療できるケースもあるが重症例ではうつ病様・食欲減退などで衰弱も | 常染色体性、単一遺伝子 | コリー、Gシェパ |
547 |
Periodic Fever Syndrome 周期性発熱症候群 |
2〜3周ごとの周期的な発熱、消化管の通過障害、痛みを伴う赤い発疹、筋肉痛、歯肉の腫脹 |
Genes: HAS2 別名家族性シャーペイ熱、遺伝性皮膚ムチン沈着症。※家族性地中海熱 |
AR | Cシャーペイ |
599 |
Pyoderma, German Shepherd ジャーマンシェパードの膿皮症 |
* | * | unknown (ARか) | Gシェパ |
629 |
Sebaceous adenitis SA皮脂腺炎 |
強い痒み、過剰なフケ、脱毛、カビ臭のある病変、二次的皮膚感染症 |
甲状腺機能低下やアレルギーのような症状は重症。治療法が無いため安楽死対象 OFA皮脂腺炎のページhttp://www.offa.org/sa_info.html |
常染色体性、unknown | プードル、秋田、ラブ、サモエド、ハバニーズ |
654 |
Stevens-Johnson syndrome スティーヴンス・ジョンソン症候群 |
食欲減退、高熱、全身に滲出性紅斑、水疱性紅斑〜紫紅色斑が多発散在 | 薬剤誘発性(ヒトではウイルス感染がきっかけとなることも)皮膚粘膜眼症候群。目の症状は眼球結膜の充血、偽膜形成、角膜上皮のびらん(上皮欠損)。4歳メスのグレートデンがフェノバルビタール誘発で発症したことの研究 | unknown | デン |
655 |
Stiff skin syndrome *硬い皮膚症候群 |
皮膚の硬結、四肢や全身の拘縮、真皮の線維化・肥厚、口や目が閉じない | スティフパーソン症候群とは別。全身性または限局性強皮症 | AR | ウエスティ |
699 |
Vitiligo 尋常性白斑 |
脱色素斑 | 色素を作る部位の損失を不規則に引き起こす慢性的な皮膚疾患 | 常染色体性、unknown | * |